ふしぎなふたり
足のリハビリを兼ねて、朝の散歩を日課にしている。
だいたいいつも同じ川沿いのルートだが、日々新たな発見があり楽しい。
今日も、いつものように散歩をしていると、岸の上に置かれているトロピカーナとメビウスに遭遇した。
これまた珍しい組み合わせだ。僕はタバコを吸わないので分からないが、タバコとトロピカーナは相性が良いのだろうか。
そういえば、僕の知ってる喫煙者は、よく友達の家にあるミックスキャロットを拝借していた。
喫煙者は、野菜ジュース好きになる傾向があるのかもしれない。
ただ、このトロピカーナもといメビウスは開封された形跡がない。
となれば、誰が、どんな目的でこの岸にこの2つを置いたのか。
ひょっとすると弔いか。
誰かが、この近くで亡くなり、故人が生前に好きだったトロピカーナとメビウスを遺族が供えたのかもしれない。
不思議な組み合わせだが、この2つが好きな故人は、なんとなく悪い人ではなさそうだ。
僕は静かに合掌をして、その場を立ち去ろうとすると、目の前から不機嫌そうなおじさんが歩いてきて、「ふしゅー」と僕を威嚇しながら通りすぎると、トロピカーナとメビウスを手に取り立ち去ってしまった。
生きていた。
僕も、コンビニでトロピカーナを見るたびに、あのおじさんを思い出すかもしれないと考えながら、その場を後にした。
今日は土曜日、お昼は何を食べようか。